米欧間のパワーの均衡によって世界がうまくコントロールされた時代が終わろうとしている。「ユニラテラリズム」(単独行動主義)といえば、ネオコン(新保守主義者)が主導するブッシュ米政権の専売特許と思われがちだが、米国が圧倒的な力と意思で世界を動かす構図は今後、一段と鮮明になるだろう。軍事や経済だけでなく、「人口」という要素が決定的な意味を持つからだ。 先進国で二十一世紀に人口が大幅に増加するのは米国だけ。日本も欧州連合(EU)もロシアも老い行く「黄昏の国」であり、中国も少子高齢化社会を迎える。主要国では米国だけが、高い出生率と移民の吸収で、若く発展を続ける「途上の国」なのである。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top