NATO 北大西洋条約機構

執筆者:佐瀬昌盛 2003年4月号
エリア: ヨーロッパ 北米

「史上、最も成功した同盟」――1990年7月、NATO加盟諸国の首脳は高らかに宣言した(ロンドン宣言)。冷戦における“無血”の勝利が、何よりもこの自画自賛を裏づける。しかし、イラク問題をめぐって、その「同盟」に不協和音が生じている。NATOはどこへ向かうのか。 最近のNATOをめぐって、こんな冗談がある。「米国をつまみ出し(put out)、ドイツを引っぱり上げ(up)、ロシアを引き込む(in)んだ」。これは、NATOの初代事務総長を務めたイスメイ卿(英国人)が語った警句をもじったものだ。かつての警句はこうだった。「米国を引き込み(keep in)、ドイツを押え込み(down)、ロシア――ソ連――を締め出しておく(out)」。

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執筆者プロフィール
佐瀬昌盛(させまさもり) 防衛大学校名誉教授。1934年生れ。東京大学大学院修了。成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学海外事情研究所所長などを歴任。『NATO―21世紀からの世界戦略』(文春新書)、『集団的自衛権―論争のために』(PHP新書)など著書多数。
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