中東民主化ドミノを狙うアメリカの「野望」

ネオコン派はなぜ評判の芳しくないINCのチャラビ代表を推すのか。そこには、サウジ民主化、パレスチナ和平、OPEC解体すら見据えた中東全域に対するアメリカの思惑が隠されている――。[ワシントン発]「いま目の当たりにしているのは、イラクの政権中枢の崩壊だ」。米東部時間四月九日午前十時。米ブッシュ政権タカ派の筆頭、チェイニー副大統領は全米から集まった新聞編集幹部の前で演説し、バグダッドの陥落を事実上宣言した。副大統領が公式の場に顔を出したのはイラク戦争開戦以来初めて。それがバグダッド陥落が進む最中だったのは、偶然にしては出来すぎなほどだった。

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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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