【[検証]アメリカンスタンダード 2】 アメリカ暗号戦略の重大な軌道修正

執筆者:田村秀男 2003年8月号
エリア: 中東 北米

あまりにも「イスラエル系」に依存していたことに、ブッシュ政権は気がついた。遠からず、アメリカだけが自在に暗号を解読できる日が来るかもしれない。 前回の運輸安全保障で取り上げたように、アメリカの安全保障基準の実行手段の決め手は情報技術(IT)である。最先端のITパワーと帝国としての強制力で、グローバル経済社会を支配することができる。グローバルなITネットに安全保障基準というフィルターをかけて反米テロを摘発、防止しようというのだ。 ところが難題がある。暗号技術である。暗号が進化すればするほど情報はフィルターをくぐり抜ける。暗号技術の開発や普及を規制すれば、今度は電子メール、電子商取引、インターネットバンキングなど爆発的に拡大するIT経済の安全が破壊される。暗号技術で世界をリードするアメリカが技術の輸出を規制しても、欧州や日本が独自技術を発展させ、アメリカの暗号覇権が危うくなる。アメリカのジレンマだ。

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