財務省は国債の押しつけ先として公社を狙う。一方、公社自体も着々と事業を拡げており……。「郵貯のお金をどうやって成長分野に振り向けるか。それが郵政民営化の本質で、財政投融資の問題だ。私が総理となって初めて手をつけようとしている」 小泉純一郎首相がこう主張して、総選挙の金看板として掲げた郵政事業の民営化。経済財政諮問会議では民営化に向けた論議もスタートし、一見、政権の望む方向に事態は着々と進んでいるように見える。 しかし、公社を巡る「実態」はむしろ逆だ。財務省が三百五十兆円の資金を有する郵貯・簡保資金を「国債管理政策」の名の下に傘下に収めようと画策する一方、政府、自民党内には露骨に民営化に反対する動きがある。日本郵政公社自体も業務拡大に邁進中だ。公社が「民業を圧迫する財投機関」と化す可能性は、むしろ強まってきている。

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