「観光はモノ(製品)主体の消費型産業にないコト(サービス)主体のイノベーティブ産業として(中略)デフレ経済下にある日本経済の持続的成長への回帰に大きく寄与できる産業でもあります」 経済誌や業界紙で正月恒例の企業・団体トップの年頭所感。発行部数3万2000部の「旬刊旅行新聞」(月3回発行)の元旦紙面に、日本観光協会(日観協)会長のコメントがさりげなく掲載されていた。この日観協会長とは東芝の西田厚聰会長(67)のこと。昨年6月、前任者の元運輸事務次官の中村徹(75)に代わり、初の民間出身者として会長に就任した。 アジアからの訪日客急増(2010年は前年比約25%増)、日本ツーリズム産業団体連合会との統合(今年4月、新団体の名称は「日本観光振興協会」)など、日観協を取り巻く環境が大きく変わりつつあるとはいえ、「西田さんのような大物財界人が引き受けるポストではない」(日本経団連幹部)。日観協関係者によると、「経団連副会長として西田さんが、観光分野の政策提言で中心的な役割を果たしたのが縁」という。それにしても、だ。

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