天下り監視に「人事公正委員会」?

執筆者:原英史 2011年1月29日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 

27日の読売新聞に「天下り監視に人事・公正委員会」との記事があった。政府が、3月中旬に提出を目指す国家公務員制度改革関連法案で、労働基本権拡大に伴って人事院を廃止し、その代わり、天下り監視などのため「人事公正委員会」を設ける方針を固めたとの内容だ。
 
以前のエントリーでも触れたことがあるが、現行の国家公務員法では、「再就職等監視委員会」を設け、天下り監視を行うことになっている。安倍内閣での国家公務員法改正で設けられた制度だ。
ところが、これに対し、民主党は委員任命に反対し続け(この委員会の人事には国会同意が必要)、政権交代をはさんで、未だに委員長以下全員空席のままだ。
 
監視役がいないのだから、あちこちで天下りがなされるのも当然の状況。
28日の参議院本会議で、東電への天下り問題について問われ、菅総理は「天下りでないとは言いきれないので、調べる」と答弁していたが、本来なら、「再就職等監視委員会」が調べるべき役回りなのだ。
 
記事によると、菅政権の方針は、今度提出する法案で、現行の「再就職等監視委員会」の監視機能を強化し、調査権限も与えた組織に作り替える(強化した上で、委員を任命する)、ということらしい。
だが、現行の「再就職等監視委員会」にも、すでに調査権限、証人喚問権限、立入検査権限などが与えられており、少なくとも現在「調査権限」がないかのような記事になっているのは誤りだ。
 
仮に、機能強化して委員会を改組するのだとしても、その前に、現行法に基づき、委員を任命して監視を始めることが先決だろう。
もし通常国会で法案成立して委員会を改組となったら、任命していた委員に横滑りしてもらえばよいだけだと思うが。
 
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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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