辞意表明したハンツマン駐中国大使の今後

執筆者:足立正彦 2011年2月2日
エリア: 北米 アジア

 ジョン・ハンツマン駐中国米国大使が4月30日付で同大使職を辞任する意向をオバマ大統領に伝えたことを、ロバート・ギブズ大統領報道官が1月31日に行われた記者会見の中で明らかにした。また、ギブズ報道官はホワイトハウスが後任の人選プロセスに既に着手したことも確認している。胡錦濤国家主席の米国公式訪問が終わった直後であり、また、共和党大統領予備選挙をちょうど1年後に控えたタイミングでのハンツマンの辞意表明は大きな反響をもたらしている。

 ハンツマンは2008年大統領選挙では共和党大統領候補のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)の全米共同委員長の一人に就任し、マケインを積極的に支援していた。2008年11月に行われたユタ州知事選で自ら再選を果たして知事在職二期目にあったにもかかわらず、オバマが共和党員のハンツマンを2009年5月に次期駐中国米国大使に任命し、ハンツマン自身も州知事職をなげうってまで同任命を受諾した際には党派を超えて大きな驚きを持って受け止められた。オバマの側近らは2012年大統領選挙での共和党大統領候補の最も手強い政治家としてハンツマンを警戒していたため、駐中国米国大使の受諾は「封じ込め」の意味もあったのである。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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