増税は、2011年度中なのか、2013年8月以降なのか?

執筆者:原英史 2011年2月6日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 

「社会保障と税の一体改革」の議論が与謝野担当大臣の下でスタート。2月5日、「社会保障改革集中会議」の初会合が開催された。
 
会議で公開された当面のスケジュールによると、
・3月中下旬まで、この問題につき提言を行っている経済団体、労働界、言論界、各政党、超党派有志議員などから幅広くヒアリングを実施、
・その後、集中討議を行い、4月に社会保障改革の見直し案、
・6月に税と社会保障の一体改革案(①社会保障の制度改革案、②税制改革の具体的方針、③工程表)をまとめ、
政府与党本部での成案づくりにつなげるという。
 
ただ、「各政党、超党派有志議員からのヒアリング」を政府の有識者会議が行うのは、通常あまりないことで、野党側がすんなり応じるのかどうか?
また与党サイドでも、この会議主導での議論を嫌い、民主党「社会保障と税の抜本改革調査会」で決めていこう(同調査会での小沢鋭仁会長代理の発言より)といった動きもある模様。
このスケジュールどおりに順調に進むかどうかは、まさに政治動向次第で、不透明なようだ。
 
だが、それ以上に、もう一つ気になるのが、その先のスケジュール、特に増税のタイミングをどう考えているのか。
この点、閣僚たちの発言は、やや混乱しているようだ。
 
菅総理は、1月27日の衆議院本会議では、
・「消費税引き上げを実施するときには国民の審判を仰ぐと従来言っており、その方針に変更ない」
続いて、2月2日の衆議院予算委員会では、
・「(消費税引き上げは、衆院議員の)任期の終わったあとに実施したい」
・2013年8月以降ということかと問われ、「基本的な考え方はそういう設計図」
と答弁した。
 
一方で、与謝野大臣は、2月5日の集中会議後の会見で、
・「限度は来年(2012年)の3月31日。税法附則104条が命じるのは11年度中に法的整備を行うということだ。・・・内閣は法が示している期限内に物事を済ませる責任と義務がある」
と語った。
(注)税法附則104条とは、麻生内閣時の税制改正法に、当時の与謝野財務大臣の主導で盛り込まれた「消費税を含む税の抜本的改革を段階的に行うため、2011年度までに必要な法制上の措置」という規定のこと。
 
両氏は、かなり違うことを言っているように見えるが、もし矛盾なく理解するカギがあるとすれば、菅総理はいつも「実施」という言葉を使っている点だ。
消費税を上げるには、①政府が「法案提出」、②国会で「法案成立」し公布、③周知期間を経て「施行」(実施)、というステップがある。
 
菅総理は上記③、与謝野大臣は①と②について語っていると考えれば、以下のようなスケジュールとして、矛盾なく理解することが可能だ。
・与野党協議を進めた上で、来年の通常国会で、2012年3月までに「法案提出」し、「法案成立」へ。
・基本的に2013年8月以降、衆院選挙が終わってから「施行」。または、(「法案成立」の後?)2013年8月以前に解散して、より早いタイミングで「施行」。
 
いずれにせよ、この春のことさえ見通せない中での希望スケジュールに過ぎないことは間違いないが、一つ指摘しておくと、もしこのスケジュールどおりに事が運んだら、何が起きるか。
思惑どおり、与野党合意で「法案成立」したあとに解散するとしたら、増税は選挙の争点にはならない。つまり、実質的に、国民が「ノー」という機会は与えられない、ということになるかもしれない。
 

 

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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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