民主党議員16人の会派離脱届に続いて、2月24日には松木謙公農林水産政務官の辞表提出など次から次へと政権崩壊の危機に見舞われ、菅直人首相は崖っぷちに立たされている。だが、今のところ退陣するつもりがまるでないようだ。 16人の会派離脱届によって、政権がダメージを受けた翌18日、朝日新聞の報道で再び政権に激震が走った。 同紙の同日付夕刊が報じたのは、「菅直人首相を支持してきた民主党の有力幹部が公明党幹部に対し、首相退陣と引き換えに(2011年度予算)関連法案成立に協力を得られないか打診していたことがわかった」という内容。菅首相側近が首相退陣を他党に持ちかけているのが事実ならば、政権はもう終わりである。リビアのカダフィ大佐の例をみても、政権幹部らが離反すれば、トップは失脚を免れない。 朝日新聞は匿名扱いにしているが、この記事に登場する、「首相を支持してきた民主党の有力幹部」とは仙谷由人代表代行、打診を受けた「公明党幹部」というのは漆原良夫国対委員長のことである。2人は15日に会談した。菅首相退陣について、実は仙谷氏はひとつの可能性として指摘しただけのつもりだったようだ。しかし、漆原氏が公明党幹部や自民党の逢沢一郎国対委員長に会談内容を伝えたことから、あっという間に与野党幹部の間を「退陣打診」の情報が駆けめぐった。

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