民主党政権の「天下り根絶」の実態

執筆者:原英史 2011年2月26日
タグ: 日本
エリア: アジア

 民主党政権の「天下り根絶」の実態が明らかになってきた。

先週の新聞記事で、「政権交代以降4240人」「101人」など、いくつかの数字が出てきたが、これは、複数の調査結果が並行して同時期に公表されたため(予備的調査の結果、質問主意書への政府答弁など)。
 
2月23日の衆議院予算委員会での平将明議員(自民党)の質疑なども参考に、整理してみると、現時点で明らかになっている全容は以下のとおりだ。
 
1、公益法人・独立行政法人・特殊法人などへの再就職など
政権交代以降1年間で、
(1)公務員OBの再就職 2101人
(2)現役出向       2139人
    計         4240人
 
2、営利企業への再就職など
政権交代以降、
(1)幹部公務員OBの再就職 101人 (今年1月1日まで)(注)
(2)官民交流派遣(50歳代)  8人 (昨年6月~今年2月)
 
(注)101人は、部長以上の幹部OBに限り、かつ、「役所が把握している範囲内で」という限定付きの調査結果。
 
「再就職」と「現役出向・官民交流派遣」を並べているのは、菅内閣が昨年6月に閣議決定した「退職管理基本方針」で、
・(公務員をやめてから再就職する)「天下り」はいけないが、
・(公務員をやめずに出向する)「現役出向・官民交流派遣」は構わない、
という方針を示したため。「天下り」を「現役出向」などにおきかえているケースがあるとみられるからだ。
 
調査結果の中で、数字以上に衝撃的だったのが、「5代以上連続して特定府省OBが再就職していたポスト」に、さらに連続して再就職した事例まで存在したことだ。
「5代以上連続ポスト」は、野党時代の民主党の追及により、2009年5月に総務省が明らかにしたもの。
かつての民主党は、こうした「指定天下りポスト」を目の敵にし、「これだけ悪らつな天下りを認め、見過ごしておいて・・」(かつての細野豪志議員の衆議院予算委員会での発言より)などとさんざん批判していたものだ。
 
ところが、今回の調査結果によれば、例えば以下のような「5代以上連続ポスト」に、さらに連続してOBが就任したケースが昨年5月頃から続出している。
・社団法人全国二輪車安全普及協会 専務理事: 2010年5月21日に元・九州管区警察局長が就任
・財団法人日本農業研究所 専務理事: 2010年6月1日に元・農水省経済局統計調査部長が就任
・社団法人日本海難防止協会 専務理事: 2010年6月7日に元・海上保安庁海上保安大学校長が就任
・社団法人日本冷凍空調設備工業連合会 専務理事: 2010年8月9日に元・経済産業省大臣官房付が就任
 
「5代以上連続ポスト」には含まれないが、
・財団法人国際金融情報センター 理事長: 2010年9月15日に元・財務官が就任
なども、いわゆる「指定天下りポスト」と指摘されてきたところだ。
 
菅内閣の閣僚らによれば、これらの再就職は、いずれも「役所のあっせんはなかった」ので、「天下りにあたらない」そうだ。
だが、昔から、役所の公式説明は多くの場合、「役所があっせんしたわけではなく、本人の能力・識見を買って、受入れ団体側から要請があった」ということだったのであり、以上のケースが「天下りにあたらない」なら、「天下りは、昔から存在しなかった」と言うのと、たいして変わらない。
 
また稿を改めて書くことにしたいが、所管企業への再就職なども露骨になっている。
 
過去のエントリーで何度か指摘してきたことだが、「再就職等監視委員会」を設置せず、いわば監視役のいない状態を続けてきたことの結果が、いよいよ明白になったと言わざるを得ない。
 
カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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