台湾は来年、総統・立法院のダブル選挙に

執筆者:野嶋剛 2011年4月20日
タグ: 中国 台湾

先日、このコラムで台湾の次の総統選と立法院(国会)選挙がダブル選挙にされるかも知れないという見通しを書きましたが、昨日、台湾の選管が正式にダブル選挙を決定しました。

もともと台湾では立法院選挙の2~3カ月後に総統選挙がある日程が組まれるのが通例でしたが、今回はどちらも投票日が来年1月の14日か21日になります。そうなると、総統選まであと9カ月。一気に台湾で選挙ムードが高まりそうです。

このダブル選挙について、馬英九の参謀は2カ月ほど前、私に「立法院を捨て、総統を取る戦略だ」と語って、ダブル選挙の根回しに入ることを教えてくれていました。

次回の立法院選挙では、支持率低迷の国民党の議席減少は確実な情勢です。そこでもし大敗すれば総統選でも野党民進党は勢いに乗り、馬英九再選が危うくなります。

ならば、ダブル選挙で支持者を一気に動員して票を稼ぎ、立法院で多少負けても総統さえ取っておけば、という考え方です。また、旧正月(1月23日)の直前にぶつけることで、対中関係の安定を期待する中国人ビジネスマンが大量に帰国することで、その票も期待できるわけです。なかなか国民党も賢い、という感じですが、党の勢い自体は民進党にあるので、どちらが勝つか、本当に分からなくなってきました。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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