インテリジェンス・ナウ

サイバー戦争計画に動き出した米「軍産複合体」

執筆者:春名幹男 2011年6月14日
エリア: 北米

 オバマ米政権は「サイバー戦争」の体制整備を「最優先事項の1つ」として、強力に推進する構えを見せている。
 2009年1月に政権に就いた直後、オバマ大統領は「サイバー空間政策」の見直しを指示(本誌2009年7月号)、2010年10月にはサイバー司令部を本格始動させた。
 その間、インターネット検索大手、グーグルなど民間企業だけでなく、米政府のコンピューター網も「中国から行なわれているとみられる」(グレグソン前米国防次官補)サイバー攻撃を受け続けてきた。
 ウィリアム・リン国防副長官によると、米国に対するサイバー攻撃はこの10年で大幅に増加、「100カ国以上の外国情報機関が米国のネットワークに対する侵入を試みている」ほど。サイバー攻撃能力を持つ国は中国やロシアだけではなく、アル・カエダやハマス、ヒズボラなどのテロ組織までが米国に対するサイバー攻撃の意図を表明している。2008年までに世界でサイバー犯罪で盗まれた知的財産は1兆ドルものレベルに達している。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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