インテリジェンス・ナウ
米国のシリア「体制変革」工作で新段階を迎えた「アラブの春」
「アラブの春」はいよいよ米国とその仇敵イラン・シリアが対峙する新段階に入った。 チュニジアの反政府運動に端を発し、親米のムバラク前エジプト政権が崩壊、バーレーンなどにも拡大したが、リビアやイエメンでは内戦が膠着状態に陥っている。 長期化するこの中東の大震動に対して、オバマ米政権は介入にやや慎重だった。だが、シリアのアサド政権が死者推定2000人を出す「血の弾圧」で対応、情勢が深刻化し、シリア政府系のデモ隊が米大使館を襲う事態に発展すると、米国はにわかに積極策に転じた。 米国は事実上、アサド・シリア政権の「レジーム・チェンジ(体制変革)」を図る構えを示している。 7月11日、シリアの首都ダマスカスの米大使館にアサド大統領支持派の群衆が侵入。これを受けて、クリントン米国務長官は緊急に会見し、アサド政権は「正統性を失った」と宣言、「米国の目標は……民主的転換だ」と表明したのである。 シリアの友好国イランは急きょ、58億ドルに上るアサド政権への巨額の緊急援助を約束したと伝えられる。反米で結束を固める両国に対して、オバマ政権がどのような工作を展開するか。「アラブの春」は米国対イラン・シリアの対決という新たな段階を迎えた。
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