8月10日の発足から1カ月が過ぎた9月10日、タイのインラック首相はブルネイを皮切りにインドネシア、カンボジア、ラオスのASEAN4カ国を初訪問して外交デビューを果たし、政権は試運転段階から本格始動に向け動きだしたようだ。
この間、新政権のみならずタイの今後を占う意味で興味深い動きがみられた。
第1が、数年来、過激なタクシン支持運動を展開してきた中央・地方の赤シャツ陣営指導者の多くが8月末に内閣の政治職に任命されたことだ。昨春、彼らがバンコクの繁華街を占拠し流血の事態を招いたことは知られたところだが、積極果断な対応を取れず徒に事態を紛糾させたことが前アピシット政権と国軍への国民的不信感を招き、今回の政権交代をもたらしたとも言われるだけに、「論功行賞人事」と批判する声が起こるのも無理からぬことだろう。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン