【「行政ウォッチングの部屋」Q&A】内閣府の役割と機能について

執筆者:原英史 2011年10月11日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

≪編集部より≫先日、「行政ウォッチングの部屋」への質問を募集しましたところ、会員の皆様からいくつかのご質問をいただきました。本日はその中からK.S.さんからいただいたご質問に、運営者の原英史さんがお答えいたします。質問は常時受け付けておりますので、是非ご参加ください。

【問い】いつも良質な記事をありがとうございます。行政ウォッチングの部屋に質問です。
中央官庁の1つに内閣府があります。原子力委員会をはじめ重要な委員会が設置され、首相のリーダーシップを支える役割を担うとされていますが、実際は各官庁の出向者が多く、全体としての統率がとれていないという話を聞いたことがあります。
そこで、他の官庁は内閣府をどう捉えているのか、そして内閣府は実際にちゃんと機能しているのかの2点を御伺いしたく存じます。よろしくお願いいたします。

【答】内閣府は、橋本龍太郎元総理のリーダーシップでなされた中央省庁再編の際、内閣機能の強化という観点で、新たに設置された役所です。
経済政策など重要政策の総合調整などを担うほか、原子力委員会、原子力安全委員会、食品安全委員会、行政刷新会議などの重要会議をかかえています。
新設の際に旧経済企画庁や旧総理府などが母体となったので、プロパー職員ももちろんいるのですが、各省庁からの出向者が多いことはご指摘のとおりです。

さて、ご質問の2点へのお答は、連動すると思います。
内閣府の中でも、部門により、また時期により、機能している場合と機能していない場合があります。
他省庁からの捉え方は、それ次第。つまり、機能しているときは一目おかれるし、機能していないときは、「省庁からの出向者の言いなりになる出先機関」程度に扱われる、ということです。

機能していた例をあげれば、典型的には、小泉内閣のときの経済財政諮問会議でしょう(いまは機能停止していますが、これも内閣府に属します)。
当時は、重要政策については諮問会議で取り上げ、個別政策の担当大臣と、諮問会議の民間人議員や竹中平蔵経済財政担当大臣(内閣府特命担当大臣)らが政策論をたたかわせて、最後は総理が裁断、といった場面がよく見られました。
ここで進めた政策の是非には賛否あるかもしれませんが、少なくとも、当時、諮問会議が機能していたことは間違いなかったと思います。

一方、最近では、事業仕分けが一時、これに近い状態だったかもしれませんが、全般には、内閣府があまり機能していないように見えます。

私が思うに、内閣府が機能するかどうかは、「内閣府特命担当大臣」(経済財政担当、規制改革担当など数名おかれる)次第、という面が強いと思います。
内閣府の仕事は、基本的に、ほかの省庁の仕事に口を出し、改善・調整していく仕事です。こういう仕事は、特命担当大臣が強力なリーダーシップを発揮し、必要に応じ総理の支援も得て、各省庁をおさえこんでいくぐらいのことをしないと、なかなか実のあることはできません。

行政組織が「混成部隊」で、いろいろな省庁の出向者や民間出向者らで構成されていることは、特命担当大臣次第で、プラスにもマイナスにもなります。
大臣がリーダーシップを発揮しなければ、親元省庁の言いなりに動く出先機関化しますが、大臣が強いリーダーシップを発揮したときは、逆に、広範なネットワークを持つなどの点で強みにもなると思います。
(例えば、これは厳密には内閣府でなく内閣官房の組織ですが、構造改革特区の創設初期の鴻池祥肇担当大臣など、各省庁からの出向者を見事に使いこなして成果をあげた好例だったと思います。)

(参考)野田内閣における内閣府特命担当大臣

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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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