国際論壇レビュー
深刻化する「中国のサイバー攻撃」とその先にある「新しい戦争」
2017年6月。中国の軍事侵攻の危機にさらされる台湾。米空母戦闘群が防衛に向かった。その時、北米大陸の送電線網に異常が生じ、大停電が起きる。中国国家主席はホットラインで結ばれた米大統領に対し、「さらなる停電の拡大もありうるだろう」と脅す。台湾防衛に向かっていた米空母戦闘群は任務を断念。退却を余儀なくされた。送電線網撹乱による停電拡大は、金融、航空輸送をはじめ、米国のインフラにどこまで壊滅的打撃を与えるか、予測もつかない……。
新刊『脆弱なるアメリカ』が描き出す近未来の「米中サイバーウォー(電子戦)」の姿だ。著者は一昨年まで米政府の情報防護(対スパイ)活動を統括していたジョエル・ブレナー。紙の発行を止めサイバー新聞となった米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」が、書評で大きく取り上げた。書評では、ブッシュ前政権のテロ対策特別補佐官リチャード・クラークの著書『サイバーウォー』も紹介された。同書は昨年出版され波紋を広げた。 【America the Vulnerable, The Christian Science Monitor, Nov. 4】

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