マリのクーデターの衝撃

執筆者:白戸圭一 2012年3月23日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: アフリカ

  サハラ砂漠以南のアフリカの多くの国は現在、一応は複数政党制の下に選挙で大統領と議会与党を選出する「民主主義国家」である。北朝鮮や中国のような一党独裁国家は、アフリカにはもはやほとんど存在しない。

 だが、アフリカ政治が抱える問題の本質は、複数政党制という制度の有無にはない。多くの国では、複数政党制下で選挙が実施されても、野党勢力は候補者擁立の段階から様々な形で嫌がらせを受け、選管はしばしば与党側に買収されている。与党は二重投票を画策し、野党支持者の投票はしばしば暴力や威嚇によって妨害され、開票段階では与党候補の票の水増しが行われる。こうして実質的には独裁者に近い国家元首であっても、複数政党制下の選挙という「儀式」を経ることにより、対外的には「民主的に選出された大統領」として正統性を獲得する。1990年代以降、アフリカ各地でこのような民主主義の形骸化とでも呼ぶべき現象が観察されている。

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執筆者プロフィール
白戸圭一 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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