去る5月16日、ハーグの旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷でボスニア・ヘルツェゴビナのモスレム人大量虐殺の罪に問われた大物被告の裁判が始まった。1995年のスレブレニツァ虐殺を差配したセルビア人武装勢力司令官ラトコ・ムラジッチ被告(70)だ。
旧ユーゴ内戦時、よく肥満していた体躯は痩身に変わり、面貌もさすがに老いを感じさせているとはいえ、「バルカンの虐殺者」と呼ばれたムラジッチは今なお悔悟の念とは無縁なようだった。傍聴席の女性遺族が中指を立てて激しい憎しみをたたきつけたのを目にしたムラジッチは、嘲笑うかのように、喉を切り裂く仕草を見せ、女性を侮辱したのだった。
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