中東情勢を大きく左右するエジプトの動向。焦点は、イスラム原理主義勢力「ムスリム同胞団」出身としては初めて政権に就いたモルシ新大統領が宗教色の強い政策を実行するかどうか。だから、エジプトを訪問したクリントン米国務長官は、「軍と協力して民主制への移行を」と同大統領にイスラム色の強い政治への傾斜を警告したのである。
だが、「アラブの春」が大きく展開した昨年2月当時、ジェームズ・クラッパー国家情報長官(DNI=71=)は議会証言で「ムスリム同胞団は雑多な運動体を包括し、大体において世俗的」と恐ろしく単純な失言をして、後に訂正した。リビア情勢でも「長期的にはカダフィ勢力の方が有利」と発言していた。
実はこんなぶざまな事態に至る舞台裏で、オバマ政権のDNIと米中央情報局(CIA)長官が激しい権力闘争を繰り広げ、その結果、CIA長官が勝利する、という劇的な局面があった。このためDNIおよびその事務局の士気が大幅に低下したとみられるのだ。
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