バーネット夫人が書いて世界的ベストセラーになり、日本では若松賤子の名訳で名高い『小公子』(1886年)の、粗筋をおさらいしておく。
ニューヨークの下町で船積み人足など労働者の間に育ったセドリック少年の許へ、思いがけない知らせが舞い込む。
イギリスの古城に住む侯爵が老齢に達し世継ぎを探した。ただ1人、昔アメリカ女性と恋をして結婚し英国を捨ててニューヨークに出奔した息子しか爵位と財産を継ぐ者がいない。その息子はすでに病死したから、侯爵家を継ぐ資格ある者はセドリックしかいない。どうか一度イギリスに来て、侯爵と面談してくれないか。
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