イエメンの軍再編は最終段階に

執筆者:池内恵 2013年4月12日
タグ: ドイツ
エリア: 中東

 この欄で継続的に伝えてきたイエメンの体制移行過程、特に政軍関係の再編だが【「サーレハ後」のイエメンはどうなっているか】【イエメンの軍再編は新体制への一里塚】、2012年8月と12月の再編に続く、締めくくりというべき動きが4月10日にあった。この日、イエメンのアブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領が発出した大統領令により、ついにサーレハ前大統領の長男アハマドも更迭された。サーレハ前大統領親族による軍の同族支配を排除する動きの最終局面と言っていい。それだけでなく、手兵を率いてサーレハと袂を分って、政権崩壊への「功労者」となったアリー・モホセン少将も退任させた。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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