インテリジェンス・ナウ

ウクライナ情報機関SBUは本当はどちらの味方?

執筆者:春名幹男 2005年3月号
エリア: ヨーロッパ

 どす黒い肌の表面にブツブツの毛穴が見えるウクライナのビクトル・ユーシェンコ大統領の顔。正視できないほどのその顔に底深い秘密が潜んでいる、と思えてならない。 大統領がダイオキシンの毒を盛られたのは昨年九月五日のこと。場所は、ウクライナ情報機関、国家保安局(SBU)幹部の別荘。ユーシェンコ氏はイーゴリ・スメシュコ長官らに、SBUが選挙に介入しないよう申し入れたと伝えられている。食事にはすしなどが出され、その晩、ユーシェンコ氏は激しい頭痛、腹痛を訴えた。チャーター機でウィーンの病院に搬送され、緊急治療を受けて助かり、後遺症を押して、選挙戦を戦うことができた。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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