80時間世界一周 (7)

多国籍化で「実」をとる地中海の島国マルタの知恵

 イタリアのミラノ・マルペンサ空港からアリタリア航空機に乗り込み、二時間ほど南下する。地中海を眼下に、高度が急に下がったと思った瞬間、淡路島の半分程度のマルタ島が視界に飛び込んできた。「海に浮かぶ」という表現がぴったりのマルタは、大中小の三つの島からなる。人口はわずか三十九万人。 天然資源に乏しく、主な産業といえば観光や造船で、なかでも世界遺産に登録されている城壁都市バレッタが売り物だ。海岸には高級リゾートホテルが立ち並び、南フランスやモナコほど高値ではないため、手ごろな値段でリゾートライフが楽しめると好評。多数のヨーロッパ人が休暇で滞在している。地中海の十字路に位置し、小国で政治的にも「汚れていない」ため、イスラエル人やアラブ人も数多く訪れるという。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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