日韓を猛追する中国造船業の技術力

執筆者:五味康平 2005年4月号
エリア: アジア

 中国の造船建造量(完成ベース)が昨年八百五十万トンとなり、世界シェアで一五%に達した。韓国、日本に次ぐ三位の位置は一九九五年以来、変わらないが、建造量千四百万トンの日本との差が一段と縮まった。新造船受注量でも昨年、一〇%を超えた模様で、世界の造船業界は日中韓の三つ巴の様相を深めている。今年の中国は建造量が千万トンを超え、世界シェアは一七%に伸張する見通しだ。 注目されるのは、中国造船業界の技術力の向上だ。これまで受注の中心はバルク船(バラ積み船)だったが、ここに来て、VLCC(三十万トン級大型タンカー)、コンテナ船の受注が急増している。中国の造船業界は中国船舶重工業集団公司(CSIC)と中国船舶工業集団公司(CSSC)の二グループが主導しているが、CSICはすでにイランや中国国内船主から延べ十五隻のVLCCの受注を獲得している。CSICがVLCCを初受注したのは九九年で、わずか五、六年のうちにVLCCの大量建造ができるまでに力を付けたといえる。今後、建造で習熟化してくれば、受注から出荷までの生産リードタイム、コストの両面で競争力を高めてくるのは確実だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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