ベトナムの首都ハノイから車に揺られて北東へ百五十キロ。中国との国境の町ランソンに到着する。トラックの往来が多い週日で四時間もかかった。幾重にも連なった山々が作る自然の国境が歴史を感じさせる。 早朝から荷物を満載したトラックが、中国からベトナムへ押し寄せてくる。ランソン市内にある三階建てのドンキン市場に一歩足を踏み入れると、入り口付近の特等席は携帯電話の販売コーナーだ。そこを通り抜けるとテレビ、ビデオ、ラジカセ、調理器具、おもちゃ、アパレルなど、中国製品が溢れるほど陳列されている。そういえばハノイで見かけた格安の携帯電話は、ほとんどが中国製であった。
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