中国経済が失速の淵に立ち、インドの成長がもたつくなかで、日本企業の目は東南アジア諸国連合(ASEAN)に向いている。つい2、3年前まで中国一色だった日本の新聞、雑誌、テレビも今やASEAN特集が毎週のように組まれている。そのなかでも昨年から日本企業の新規投資を勢いよく吸引しているのはインドネシアだ。
スズキの戦略
「スズキ、1000億円でインドネシアに新4輪工場」――。7月末に明らかになったスズキのインドネシアでの完成車工場建設のニュースは、様々な意味でASEAN経済の勢いを象徴している。ひとつはスズキの投資対象地域の選択だ。スズキは中国では重慶市で長安鈴木汽車を1990年代から経営、小型車の分野では中国市場でそれなりの存在感を持っている。だが、日産自動車、ホンダなどが合弁の新工場を各地に展開、中国市場の膨張の波に乗ろうと、次の一手を次々繰り出すなか、スズキは敢えて中国への追加投資を見送ってきた。

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