ロンドン連続テロは「警告」に過ぎない

執筆者:竹田いさみ 2005年8月号
エリア: ヨーロッパ

 ロンドンのテロは、アルカイダ系組織の関与の可能性が高い。アルカイダ系テロの共通点は、連続性、公共性、シンボル性の三点だ。ロンドン中心部の四カ所を同時に標的にし、公共交通機関を狙い、さらに英国のシンボルである地下鉄と二階建てバスに時限爆弾を仕掛けた。米国での大型テロ事件は、午前の仕事始めか昼休み明けの時間帯が目立つ。今回は午前の仕事始めの時間帯であった。 アルカイダ系組織が本格的にテロ作戦を行なう際には、大型の高性能爆薬を使用する。ケニアの米国大使館爆破やバリ島事件がそうだった。9.11では航空機がビルに突っ込んだ。しかし今回のテロは、はるかに爆発の規模が小さい。大型爆弾なら地下鉄のトンネルまで崩落し、バスは粉々になって現場に大きなクレーターができたはずだ。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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