深層レポート 日本の政治
深層レポート 日本の政治 (70)

知るや知らざるや「国民の負託」の重きを

執筆者: 2005年11月号
タグ: 日本
エリア: アジア

 小泉純一郎首相が衆議院議員選挙で手にした「民意」という“印篭”の前に、自民党内の反対派も野党もひれ伏し、郵政民営化関連法案は選挙後一カ月余りでスピード成立の運びとなった。首相の著書『小泉純一郎の暴論・青論』(集英社)によると、郵政民営化論を唱え始めたのは「大蔵政務次官をしていた頃」というから、四半世紀がかりの悲願達成である。 閣僚仲間から「暴言」と攻撃されたこともあった。首相が橋本内閣の厚生相を務めていた一九九七年二月の衆院予算委員会でのことだ。 太陽党の奥田敬和元郵政相(故人)の質問に「民間経済が活性化し税収も上がる。優良事業だから株も買ってもらえる。民営化が必要だ」と持論を展開した小泉厚相に対して、続けて答弁に立った堀之内久男郵政相(引退)が「大変な暴言だ」と噛み付いたのである。堀之内氏は「国家財産の売り食いをやって国民の理解を得られるとは思わない」と民営化論を強く批判した。野党から「閣内不統一」を追及され、堀之内氏は「暴言」発言を撤回したが、小泉氏は譲らず、逆に「民営化論は政界全体から暴論と受け止められているが、今は暴論でも将来は正論になる」と大見得を切った。その日が来るのを信じていたのは本人だけ。議場からは失笑が漏れた。当時の首相は道化にすぎなかった。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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