【インタビュー】イッティスーントーン・ウィチャイラック(映画監督) 「タイの良さ」を呼び起こすために

執筆者:草生亜紀子 2005年12月号
タグ: タイ
エリア: アジア

 我々は果たして正しい方向で発展してきたのか――一九九七年のアジア通貨危機のあと、バンコク市内のあちこちで、建設途中に放置されて廃墟となったビルを見ながら、イッティスーントーン・ウィチャイラック監督(四三)は考えた。 地球の反対側の文化を追い求めるあまり、タイ人らしさは失われつつある。もう一度、足元を見つめ直し、タイの良さを考えてもらうための映画を作りたい。そう考えていた監督がめぐりあったのが、ラナート奏者ソーン・シラパバンレーン師(一八八一年―一九五四年)の伝記だった。ラナートは「心を癒す」という意味を持つタイの伝統楽器で、船形の共鳴箱に音板がならぶ木琴である。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
草生亜紀子(くさおいあきこ) 翻訳・文筆業。NGO職員。産経新聞、The Japan Times記者を経て、新潮社入社。『フォーサイト』『考える人』編集部などを経て、現職。
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