インテリジェンス・ナウ

米国の秘密工作もあえなく失敗 原理主義化ドミノが止まらない

「アメリカが言うように、民主的選挙を行なえば、モロッコからインドネシアまで(イスラム教国で)反米政権が誕生する」 昨年十一月に会った、パキスタン情報機関、三軍統合情報部(ISI)の元部長、ハミド・グル退役中将はそう断言した。グル氏はイスラム教原理主義者の元軍人だ。 彼の予言通りの結果が現実になろうとしている。最も顕著な例がパレスチナである。致命的なのは、ブッシュ米政権が秘密工作でテコ入れしたにもかかわらず、パレスチナ自治政府与党ファタハが惨敗したことだ。 ワシントン・ポスト紙によると、工作の主体となったのは、米国際開発局(AID)。AIDの活動の出発点は第二次世界大戦後のマーシャル・プランにさかのぼるが、正式の創設は一九六一年、ケネディ政権時代だ。マーシャル・プラン自体が、反共産主義秘密工作でもあった。AIDはベトナム戦争でも、米中央情報局(CIA)の工作に協力した。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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