オバマ大統領訪日時の共同声明は、「尖閣は日米安保の適用範囲」、「日本の集団的自衛権の検討を歓迎」が盛り込まれ、安倍政権にとって「満額回答」の内容になった。だが、外交は、国益のバランスの体現である。欲しいものがタダで手に入ることはない。
今回のオバマのアジア歴訪は、日本よりもアメリカの事情によるところが大きい。昨年秋のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に来られなかったこと、シリアやウクライナで有効な手立てが取れていないこと、中国のADIZ(防空識別圏)を一方的に設定させてしまったこと、さらに言えば、安倍首相の靖国参拝を止められなかったことなど、外交におけるオバマの失点を挽回するための機会だった。

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