この号が読者の手元に届くころ、自民党の新しい総裁が誕生している。いるだろう、ではなく「安倍晋三総裁」になっているのだ。九月二十六日の臨時国会冒頭には「安倍首相」も決定し、その日のうちに自民党新三役、新内閣閣僚が決定する。 良くも悪しくも政治は権力闘争である。あらゆる手段を講じて(歴史的には、ときに暴力を用いて)首相の座を手にするために争うパワーゲームである。自民党の総裁選はそういう意味で、わが国で行なわれるたったひとつの権力闘争であった。今回の総裁選を権力闘争とはいわない。名づけるとすれば、外国の政治学者が日本政治を分析する際に好んで使う、壮大なる「カブキプレー」がもっともふさわしいだろう。
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