「北の核」に揺れる韓国で次期大統領選の駆引きが加速

執筆者:黒田勝弘 2006年12月号
エリア: アジア

今後の韓国が進む道は「対北宥和」か「国際協調」か。東アジア外交を大きく左右する大統領選が始まろうとしている。[ソウル発]ソウル麻浦区東橋洞にある金大中前大統領の自宅(正確にいえばその裏)に、十一月二日「金大中展示室」なるものがオープンした。ノーベル平和賞を受賞した金大中氏の政治的業績を称えるもので、政府の支援も入っている。「延世大学金大中図書館」だったのを内部改装してあらためて発足したものだ。 この「延世大……」というのも、元は「アジア太平洋平和財団(通称・金大中財団)」として息子が管理していたのだが、大統領在任中の息子の金銭疑惑が発覚したため「財団」を手放さざるをえなくなり、大学に寄贈したかたちになっていた。「金大中展示室」を設け、その業績を顕彰し記念するわけだから、このコンクリート四階建ての建物は実質的に「金大中記念館」である。

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