金正日総書記「暗殺」のアイデア:日本に持ちかけていたCIA

執筆者:春名幹男 2014年12月27日
エリア: 北米 アジア

 米朝間のサイバー対決を招いた米国のコメディー映画「ザ・インタビュー」。北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺がテーマで、テレビのニュースキャスターとプロデューサーが米中央情報局(CIA)の指示を受けてインタビューを装い、第1書記に近づいて暗殺するストーリー――と聞いて、奇妙な既視感を覚えた。

 1990年代に、先代の金正日総書記の「毒殺」というアイデアをCIAの幹部が日本の公安警察幹部に持ちかけていた、という話を思い出したからだ。

「金正日の料理人」として知られた藤本健二氏のことを、日本の公安警察幹部がアメリカ側との非公式接触で話した時のことだ。これに対して、CIA幹部と米国家安全保障会議(NSC)の部長から「金正日総書記を毒殺できた可能性があったのではないか」と異口同音に指摘されたというのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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