抜けるような青空ばかりを毎日見続けると、曇りや雨の日が恋しくなる。「美しい」四季を知る日本人にとって、一年中夏日の南太平洋は決して楽園ではない。しかも、国際的に高い評価を得ているホテルやレストランが驚くほど少ないので、ハワイのような国際水準のリゾートを夢見て行くと、がっかりすること請け合いだ。やや洗練されたリゾートタウンといえば、「天国に一番近い島」と形容された仏領ニューカレドニア島の都、ヌーメアぐらいだろうか。孤島のリゾート感覚を楽しむのであればタヒチやサモアもあるが、とにかく日本から遠い。十九世紀末、画家ゴーギャンがパリの喧騒から逃れてやってきた島が仏領タヒチであった。

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