イギリスを驚愕させた「医者たちのテロリズム」

執筆者:竹田いさみ 2007年8月号
エリア: ヨーロッパ

 英国のロンドンとグラスゴーで六月末、連続テロ事件が発生した。ブラウン政権誕生直後であったことから、“誰が政権をとろうとも、我々はテロを継続して行なう”という、イスラム過激派の強いメッセージと受け止められる。新政権下の英国社会に揺さぶりをかけるには充分であったろう。テロ計画の多発性、自動車爆弾テロの形態が、国際テロ組織アルカイダの常套的な手法と重なることから、実行犯はアルカイダ系とみるのが今のところ妥当である。ただ、今回のテロ事件は、これまで英国で発生したテロおよびテロ未遂事件と比較して、目新しい点が幾つか挙げられる。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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