インドネシア「対中意識」激変に要注意

あらゆる分野で拡大する中国のプレゼンスに、かつての「禁中」は薄れた。天然ガスなどの資源を依存する日本にも影響は大きい――。[ジャカルタ発]三月の中国政府によるチベット騒乱弾圧を受け、北京五輪の聖火リレーが世界各地で激しい抗議にさらされたことは記憶に新しい。しかし、四月二十二日にジャカルタで行なわれた聖火リレーのルート沿いには、中国を非難するプラカードもなく、欧州で起きたようなランナーへの妨害も皆無だった。一般市民の立ち入りを禁じ、競技施設の敷地内で、関係者だけを招いて行なわれたからだ。 インドネシア側の当局者は、「中国の要請を受け、混乱を避けるためにコースを変更した」と説明した。同様に、競技施設内での聖火リレーを行なったのは、中国の長年の友好国パキスタンぐらいのもの。インドネシア側の「気遣い」をうかがわせたこの関係者限定のイベントは、近年の中国・インドネシア関係緊密化を象徴する光景でもあった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top