饗宴外交の舞台裏 (128)

日仏をつなぐ「大相撲」途絶えかけた絆の復活

執筆者:西川恵 2008年9月号
エリア: ヨーロッパ

 大相撲名古屋場所千秋楽の七月二十七日、優勝した横綱白鵬に各種の賞状、優勝杯が贈られたが、その中に「日仏友好杯」があった。 バカンスでフランスに戻っている大使に代わって、ナンバー2のクリストフ・プノー公使が土俵に上がり、日本語で「あなたはよく健闘し、優勝されました」と賞状を読み上げ、銀製の優勝杯を手渡した。 この「日仏友好杯」の授与は五月の夏場所に続き二回目になる。昨年三月の春場所で「フランス共和国大統領杯」が優勝した大関白鵬に手渡されたのを最後に、フランスは優勝杯を廃止し、大相撲とのかかわりを絶った。しかし一年余りの後、優勝杯の名前と性格を変えて、静かに再登場したのである。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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