饗宴外交の舞台裏 (137)

フランス料理を「文化」にしたジスカールデスタンの慧眼

執筆者:西川恵 2009年6月号
エリア: ヨーロッパ

 フランスはサルコジ大統領の音頭で、フランス料理をユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録すべく大々的な運動を展開中だ。フランス人シェフたちも賛同し、これに関する限り、毀誉褒貶の多い同大統領も国を挙げての支持を受けている。 世界各国で正餐のときの料理とされているフランス料理だが、この伝統を引き継いできたシェフたちの功労にフランス政府が公に報いたのはさほど昔ではない。料理界で国家功労のレジオン・ドヌール勲章を最初に授けられたのは一九七五年、ヌーベル・キュイジーヌの旗手、ポール・ボキューズだった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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