トヨタを蝕む「覇者の驕り」

執筆者:新田賢吾 2010年2月号

販売台数の激しい落ち込みは、需要減退だけでは説明できない。成功に縛られ、時代の変化を受け入れられないトヨタに未来はあるか。 二〇〇七年に亡くなった米国の著名ジャーナリスト、デイビット・ハルバースタムの代表作のひとつである『覇者の驕り(原題:The Reckoning)』。一九七〇年代から八〇年代にかけてのゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車産業の衰退と、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど日本メーカーの台頭を対照的に描いた名著だ。 邦題の「覇者の驕り」は古今東西の成功企業が最も気をつけなければならないリスクである一方、避けることのきわめて困難な課題でもある。今、この言葉を最も噛みしめている企業はトヨタかもしれない。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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