映画「唐山大地震」と人民解放軍

執筆者:野嶋剛 2010年9月6日

   いきなり映画の話で恐縮ですが、最近、「唐山大地震」という中国映画を見ました。
   人気監督の馮小剛がメガホンを取り、今年夏に公開されると、あっという間に中国で史上最高の興行成績を塗り替えました。制作費も1・5億人民元(約20億円)という巨費。いま最も注目の中国映画です。
   この作品は、1976年に河北省唐山市で死者24万人という桁外れの被害を出した唐山大地震を題材にしています。最近の四川大地震と主題をだぶらせながら、地震によって生き別れた一家の一人ひとりが歩んだ人生の苦悩と邂逅を描いたものです。
   ちなみに馮小剛は、中国で北海道観光ブームを巻き起こした映画「非誠勿擾」(邦題:狙った恋の落とし方)の監督さんです。
   映画自体はなかなかの出来映えで、さすが感情世界を描かせたら中国随一と言われる監督だけあります。これでもかという感動シーンの連続で観客席ではすすり泣きがやまず、涙と鼻水の大洪水。連れの女性は泣きすぎて顔の形が変わってしまい、普段はあまり泣かない私も3度ぐらい、こらえきれずに涙腺を緩めました。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top