「省庁版仕分けで1.3兆円超節約」 節約成果を当面の緊急経済対策に回せないのか?

執筆者:原英史 2010年9月28日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 

蓮舫行政刷新担当相が28日の会見で、「今夏に実施した省庁版事業仕分け『行政事業レビュー』の結果、1.3兆円超の予算節約につながった」と発表した。
 
「行政事業レビュー」とは、行政刷新会議の音頭で、今年春から、各省でそれぞれ“省庁版事業仕分け”を実施したもの。
 
報道によれば、2009年度に実施した約5400事業を見直した結果、約2700事業で「廃止」「改善」などと判定され、2011年度概算要求では1.3兆円超の節約になった、という話らしい。
 
こういう取組はどんどん進めたらよいと思うのだが、注意を要するのは、「1.3兆円」を額面通り受け止めてよいかどうかだ。
役所の事業の場合、ある事業を2~3年間やって、その後、名前を変えて“新しい事業”として同じようなことを続ける、というパターンがよくある。
「1.3兆円」には、そういった“見かけの事業廃止”もカウントされている可能性があろう。
 
また、引っかかるのは、「2009年度事業の見直し→2011年度予算要求での節約」とジャンプしていて、少なくとも報道ベースで、「2010年度の節約額」が出てこないことだ。
「廃止すべき」事業は、当たり前だが、「2011年度から」と言わず、今年度分も、(既に執行途上のものもあろうが)可能な限り中途で執行停止すべきだろう。
まさか、2010年度分は既に予算がついてしまっているので全額そのまま執行・消化、といったことではないと思うが・・・。
 
仮に2010年度に、半分の0.6兆円でも節約できるなら、その分を緊急経済対策に回せるはずだ。
まずは「2010年度の節約額」を明らかにすべきだろう。
 
(原 英史)
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執筆者プロフィール
原英史(はらえいじ) 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『国家の怠慢』(新潮新書)など。
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