国家公務員給与法改正: 「人事院勧告どおり▲1.5%」は納得感を欠く

執筆者:原英史 2010年10月17日
カテゴリ: 政治
エリア: アジア

 この臨時国会に提出する国家公務員給与法改正案について、政府は「人事院勧告どおり▲1.5%」という方針を固めたようだ。

菅総理は、9月の代表選公約では「人事院勧告を越えた削減を目指す」と言っていたはずだが、早速の「有言不実行」だ。
 
この話では、すぐ「現状では公務員は労働基本権が制約されているから、人事院勧告に従わざるを得ない」という主張が出てくる。
たしかに、公務員の場合、ストライキ権と協約締結権が制約されており、その代償として、「人事院が給与水準を勧告する」という制度になっていることはそのとおり。
しかし、「国会が給与を決める際に(あるいは、その前段階として、内閣が給与法改正案を提出する際に)、勧告どおりにしなければならない」などとは、国家公務員法も給与法もどこにも書いていない。
人事院勧告を参照しつつ、厳しい財政状況を勘案し、勧告を超えた削減をする、というのは当然あってよい話だ。
 
また、人事院勧告は「民間の給与水準」に沿って勧告する制度になっているが、「前年比▲1.5%」が本当に民間並みなのかも、本当は疑義がある。大企業に偏った調査方法をとっているためだ。
現に、国税庁の民間給与実態統計調査(今年9月公表)によれば、平成21年の民間企業での平均給与は「前年比▲5.5%」だ。
 
少なくとも、危機的な財政状況を憂い消費税10%まで唱えていたはずの菅総理が、ここにきて、公務員給与「▲1.5%」を何ら深掘りしないというのは、著しく納得感を欠くのでないか。
 
(原 英史)
 

twitter.com/haraeiji

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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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