ミャンマー・ヤンゴン市内の裏通りを歩いてみると、半世紀ほどタイムスリップしたような光景に出くわす。イギリス植民地時代に建てられた歴史ある佇まい。しかし、建物は老朽化がすすみ、道路は雨にぬかるむ。資本を投入してリニューアルしたら、外国人観光客を呼び込む「売り」になるのにと、思わずため息が出てしまう。
日没になると、路地裏は暗闇に包まれて行き交う人々の顔も判別できない。慢性的な電力不足のため、街路灯に灯がともることがないからだ。夜のとばりが下りると、日本ではアウトドア・レジャーで使われる灯油ランプが大活躍だ。このランプで調理も行なうため、一石二鳥のライフラインだ。資金的に余裕があれば、自家発電で電気を賄うこともできるが、庶民には高嶺の花である。
郊外の農村地帯はどうであろうか。ミャンマーの“へそ”ともいえる中部マンダレーの農村を覗いてみたことがある。上下水道はもちろん、経済インフラと呼べるようなものが何一つないのに驚く。日の出とともに起床し、日没で日々の活動を終えるという極めて原始的な生活の営みが、いまだに繰り広げられているのだ。グローバルな経済競争から完全に取り残された国、それが「鎖国中」のミャンマーだ。

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