「武器輸出三原則の見直し」はどうなるか?

執筆者:原英史 2010年12月6日
タグ: 日本
エリア: アジア

 

 近く閣議決定する「防衛大綱」に関連して、「武器輸出三原則の見直し」が争点となっている。
 北澤防衛大臣はじめ政府は「見直し」に積極的。これに対し、民主党内にも異論があるほか、政府・与党が連携を模索する社民党や公明党が否定的。「見直し」を求める産業界や米国も横目に、菅政権がどうさばくのかが注目される。
 
 議論の整理のために2つ指摘しておくと、第一に、最近の報道で頻出する「武器輸出三原則の見直し」というフレーズは、やや誤解を招く表現だ。
 もともと「武器輸出三原則」とは、①共産圏諸国、②国連決議により武器等の輸出が禁止されている国、③国際紛争の当事国またはそのおそれのある国向けの武器輸出を認めないとの原則(昭和42年佐藤総理の国会答弁)。その後、昭和51年の「政府統一見解」(三木総理)で、これ以外の地域にも「武器輸出を慎む」とされ、事実上の全面禁止となった。
 その意味で、今回議論になっている「欧州諸国などとの共同開発・生産の解禁」といった問題は、「三原則を超えた全面禁止の見直し」であって、「三原則の見直し」ではない。(もちろん関係者はこれを認識した上で、「三原則等」と言うべきところを敢えて省略して使っているのだが。)
 
 第二に、武器輸出禁止政策は、これまでも、一切の例外が許されなかったわけではない。米国との共同開発・生産などは、昭和58年以降、個別に例外扱いが認められてきた。
 これを、例えば欧州など、米国以外の友好国にも広げるといったことは、従来と比して、必ずしも大きな断絶ではない。
 その意味で、「武器輸出三原則は平和国家日本の根幹であって、見直しは一切認められない」といった類の“観念的”な議論には、あまり意味がない。
 むしろ問題は、危険な国家や組織の手に武器が渡り、日本や世界に脅威をもたらすことをいかに防止するか。そのために、いかに実効的で明確なルールを設定して運用すべきかだ。そうした“実務的”な議論こそ、オープンな形で、十分に行ってもらいたい。
 
(原 英史)
カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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