師走の風景は瀬戸際モードになっている。菅直人首相は小沢一郎民主党元代表に、衆院政治倫理審査会への出席を求め、ダメなら証人喚問をと、ちらつかせる。民主党分裂か政権崩壊という場面なのに、マーケットを取り巻く雰囲気は微妙に好転している。経済の政治離れというのとは違う。米国の景気が不思議と明るさを取り戻しているからだ。米中間選挙でオバマ政権の与党民主党が大敗したのを機に、経済の世界にはちょっとした小春日和が訪れているように見える。 その詮索をする前に、先月来の出来事を振り返ってみよう。何よりも大きかったのは11月23日、黄海の南北境界水域を越えて北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃し、民間人にも死傷者が出たことだろう。それに対抗すべく、米韓は中国の庭先である黄海で合同演習に出た。すわ一触即発かと世間は色めき立ったが、情報分析のプロは「東アジアで起きた最も重要な出来事は別にある」という。

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