小渕恵三首相が唇を震わせ、親子ほど歳の離れた首相番記者に怒鳴り声を上げたのは三月九日夜。一連の警察不祥事への対応のまずさを野党三党首から追及され、保利耕輔国家公安委員長(兼自治相)の罷免を要求された党首討論(クエスチョンタイム)の翌日だった。
午後七時、千鶴子夫人が待つ棟続きの公邸に戻ろうとした首相は、記者団の質問にきっとなった。「総理は昼間の懇談で『国家公安委員長は自治大臣と分離し専任職にする』と発言されたが、官房長官は会見で否定的なことを言われたが……」。

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