“陳水扁当選”は中国政府が最も警戒していたシナリオだが、「一つの中国」という大前提が崩れ去ったわけではない。「中台接近」が意外に進む可能性もある。独立も統一も現実的でないなか、中台問題は新たなスタート地点に立った。
台湾総統選終盤の三月中旬、都内で開かれた中国研究の権威、竹内実先生の叙勲受章を祝う集いで、先生は、中国でブームになっている「闘蟋蟀」(コオロギ同士を闘わせる遊び)のビデオを披露した。二匹のコオロギをそれぞれの飼い主が盆状の器に投じ、自分のコオロギの周りを細い棒で小刻みにつついて興奮させ闘わせるのだが、そこに行くまでに長い時間がかかる。しかも組みつき合うのはほんの一瞬で、素人目には勝敗の判別もつかない。

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