国際論壇レビュー

米大統領選で注目を集める大物副大統領候補

執筆者:田中明彦 2000年9月号
エリア: 北米

 幸いなことに、この夏は、世界を揺るがすような大事件は起こらなかった。ロシアの原子力潜水艦の沈没は悲劇的であったし、また、それが現在のロシアの状況を象徴しているように見えるが、世界的な大問題とまではいえないだろう。 世界的な大事件がないということになると、やはり目に付くのは、アメリカ大統領選挙ということになる。 七月末から行なわれた共和党大会をうけて、八月にはロサンゼルスで民主党大会が開催され、当然のことながらゴア副大統領が民主党大統領候補となった。やや意外な展開だったのは、副大統領候補にジョセフ・リーバーマン上院議員が選出されたことである。クリントン大統領のスキャンダルの時に、はっきりとクリントン批判をしたことでリーバーマン上院議員は有名であり、その意味でも意外にも見えたが、それよりも注目を集めたのは、リーバーマン上院議員がユダヤ系であることだった。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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